今回の記事では、共通テストの国語の解き方を一から丁寧に解説していこうと思います。
具体的な設問を参照しつつこの記事を読めば、イメージも付きやすいと思うので、手元に何らかの共通テストの問題を用意しておきましょう。
まず今回の記事では、大問1の解説です。
そもそも、共通テストってどんなテスト?
共通テスト(正式名称:大学入学共通テスト)は、昨年度の入試つまりは2021年度入試から実施が始まった試験です。
その前まで行われていた、大学入学センター試験に代わる新たなテストとして導入され始めました。基本的なシステムなどは、ほとんど旧センター試験と同様です。
計二日間で行われるもので、志望する大学の指定ごとに受ける科目を決めて受ける必要があります。ここを間違えると大変なことになるため、しっかりと事前調査を行っておくことが重要となります。
一日目には文系科目である、地理歴史・公民、国語、英語(外国語)の三教科が行われます。そして続く二日目には、理系科目の理科1・2、数学ⅠAⅡBの二教科が行われます。
特に国公立大学志望者の場合二日間をフルで使う試験となるため、体力的にも精神的にもなかなかハードです。また、英語(外国語)が一日目の最後の科目に設定されており、疲れの色濃い頭で最後の最後にリスニングを受けなくてはいけないなど、過酷な試験という印象を持ちます。
うまく休み時間などを使って、体調をコントロールしつつ試験をやり抜いていくプランは自分でしっかりと模試などの経験を活かして、考えておく必要があります。
難易度はどのくらいなの?
そもそも共通テストが導入された経緯は、従来のセンター試験によっては測ることのできなかった、実社会への応用力や発展的内容でより包括的な知識理解をできているのかどうかを確かめるためでした。そのため、記述式試験の導入なども図られましたが、様々な理由でとん挫してしまい、最終的には旧センター試験とほとんど変わらない内容の試験となって落ち着きました。
確かに問題の内容などは、より文章読解に力が入れられ、すべての教科において資料の読み取りや長文での問題設定などが為されるようにはなりました。しかし、裏を返せば問題文の設定はより丁寧になったということができ、解きやすさは旧センター試験よりも増したということも可能です。
純粋な問題難易度としても、従来のセンター試験とあまり違いはなくまずやはり基本となるのは、高校で習う学習内容をいかに修得することができているのかということです。私大入試のように重箱の隅をつつくような問題が出ることは間違いなくなく、いかに高校の学習内容を自分の力とできているのかどうかそれに尽きるものといえます。
共通テスト国語にどのように立ち向かっていくか 大問1
さて、それではここから今回の記事の本題である、共通テスト国語の解き方を、大問ごとに解説していこうと思います。実際の問題をイメージしやすいように今回の記事では、昨年度の共通テストの過去問をところどころ抜粋しながら解説を行っていきます。
大問1(配点:50点)
文章の題材:評論文が主体(旧センター試験と同様)
問題構成
問1:漢字問題(配点 2点×5) 文章中に登場する語句と同様の漢字を含んでいる文章を選択する問題。旧センター試験にも全く同じ問題が出題されている。
問2~問4:文章読解問題(配点 7点×3) 文章中の傍線部に関して適切な説明や解釈を選択する問題。こちらも同様に旧センター試験と同じ問題である。
問5:資料充足問題(配点 3~8点×4) 本文を読んだうえで行われたディスカッションで話された本文に関する解釈論議に当てはまる選択肢を資料の空白に入れていく問題。共通テストで初めて導入された形式の問題で、資料や会話を適切に解釈していく必要がある。
各問題を解く上でのテクニック
問1⇒ここではテクニックというものはいらない。如何に、高校範囲までの漢字をしっかりと覚えきることができているかのみである。また旧センター試験となんら変わることのない出題方法であるため、センター試験の過去問を解くことも良い演習となる。
問2~4:ここもオーソドックスな問題といえる。一般的な現代文の解法を身に着けることができていればそれほど苦戦する問題ではないはずである。このようなタイプの問題の解き方に関して、当サイト記載の記事 「kokugo-kijyutu.com/現代文読解における基本的解き方(まとめ版) 」 をぜひとも参照してほしい。簡潔に現代文を解く上で必要な知識やテクニックがまとめられているため、活用をおすすめする。
問5:大問1において一番の曲者となる可能性があるのはこの設問で間違いない。まず問題を見ておこう。
問題リンク:「共通テストホームページ 2020年度国語問題」
この設問では、例えば生徒同士のディスカッションのスクリプトであったり、本文に基づいて生徒が作成した資料に穴あきがされており、その中に当てはまる文章や単語を選択肢から選ぶという形式がとられている。またもしくは、生徒の本文に基づいてなされた会話のうちで本文趣旨と一致していない発言を選択するなどのバリエーションもみられる。 おそらくここが共通テストの求める、思考力や判断力を問われる設問なのだろうと考えられる。とはいっても、問題の内容としては本文の趣旨や内容の読解ができていれば、通常の読解よりも設問にヒントが多くちりばめられているために解きやすくなっているともいえる。そのため結局のところ最も肝心なのは、本文の読解力であることは間違いない。
昨年度の共通テストの問題では、生徒のまとめた【ノート1~3】の内容に穴あきがありそこに当てはまる選択肢を選ぶという問題だった。問5は小問3つに分かれており、それぞれがノート1~3に対応しているといった具合だ。それぞれの小問を見ていく。
小問(ⅰ)
本文に振られている段落番号が、意味段落ごとに分けられており、当該意味段落がどのような内容であったかを選択肢から選ぶという問題だった。空白Ⅰ・Ⅱに入る語句の組み合わせで適切なものを選び出すわけだが、選択肢の内容としては①・②ではⅠの内容が、③・④ではⅡの内容が同一ということで、比較的選択肢が選びやすいようになっている。同一であることによって、判断する選択肢の数が減少するからだ。そのため、このようなタイプの設問を不正解としてしまうのはもったいないため、判断しなければいけないところを取捨選択して時間を節約しつつ解くようにしよう。
小問(ⅱ)
この小問では、本文内の近世と近代の妖怪観の変遷に関する内容が簡潔にまとめられており、そのまとめの穴あきⅢ・Ⅳをそれぞれ選択するという問題だ。このようなタイプの設問は、本文の当該内容部分を読みそこと一致する選択肢を選べば自ずと正答することができるといえる。選択肢を見ると、明らかに本文内容とは当てはまっていない選択肢もみられ、それらを素早く選択肢から除外し、それ以外の判断の必要な選択肢を吟味することができるかが重要となる。本文の内容が短く言い換えられているため、「言い換え」に関しては特に注意して確認する必要がある。
小問(ⅲ)
この小問は、3つの小問のうちで一番難しい問題であるといえる。【ノート3】の内容としては本文を踏まえて芥川龍之介の小説の一遍が引用されており、それらに基づいて生徒の行われた考察の内容内の空欄に当てはまる選択肢を選ぶというものだ。 まずこの設問では、本文に示されている内容の理解に加えて引用されいる小説の一遍の内容の理解のそれぞれを用いて、どちらの文章においても整合性が取れている選択肢を選ばなくてはいけない。しかし、選択肢をしっかりとみてみると、選択肢文章前半部で明らかに誤っているといえるものがあり、それらはすぐに消去することができる。そうして残った選択肢から考えていくことが重要だ。消去法をうまく用いて、時間的効率もよく解き進めていこう。
ここまでで、大問1の解き方を説明しました。次の記事では、大問2について説明していきたいと思います!
次の記事もぜひ見てみてください。
お読みくださってありがとうございました!