それでは、今回の記事では前回の記事に引き続きまして、共通テストの大問3の古文の大問の概説や、各設問の解き方のポイントを説明していきたいと思います。
大問1現代文編、大問2小説編をまだご覧になっていない方はぜひそちらもチェックしてみてください。大問1編では、共通テストに関する簡単な説明も行っているため、一度目を通しておくことをお勧めします。
共通テスト国語にどのように立ち向かっていくか 大問3 古文
それではここから、大問3の解説を行っていきます。
大問3(配点:50点)
文章の題材:古文が主体(旧センター試験と同様)
問題構成
問1:文や語句意味説明問題(配点 5点×3) 本文中に引かれた傍線部の分野語句の本文に適した意味の選択肢を解答する設問。旧センター試験と同様の形式。
問2~問3:傍線部読解(配点 7点×1、6点×1) 傍線部に関しての適切な解釈を行っている選択肢を選ぶ設問。旧センター試験と同様。
問4:登場人物言動説明問題(配点 6点) 文章全体の内容から、登場人物などの行動や心情の説明として適切な説明を行っている選択肢を選ぶ設問。こちらも同様の形式がセンター試験に見られた。
問5:資料融合問題(配点 8点×2) 本文に関連する資料に基づき、その内容を踏まえたうえで適切な説明や解釈を行っている選択肢を選ぶ設問。共通テスト独自形式の設問。
各設問を解く上でのテクニック
問1⇒この設問は、如何に古文単語の暗記ができているかにかかっていると言っても過言ではない。というのも、この設問のほとんどは300語程度の単語帳に掲載されている確実に抑えておかなくてはいけない単語からの出題だからだ。
もちろんその暗記した単語の中から、本文に適した訳出をしているものを選択する必要があるため、単語を覚えているというのはほんの一歩目に過ぎない。また、古文単語には複数の意味を持つ単語が種々あり、主要な訳とそうでない訳があるが、その中でも主要ではない訳が問われることはあるため、基本単語に関しては一つの訳だけではなく、複数の意味をしっかりと覚えておきたい。
単語の暗記に関しては、当サイトで以前ご紹介した「【まとめ】おすすめ古文単語帳一挙比較」を参照してほしい。
しかしあくまでこの設問の肝となるポイントは、本文に即した訳を行っているかどうかである。前後の文脈を確認したうえで、明らかに当てはまらないものは除外し、やはり最後に残った選択肢を選べるかどうかは単語力なるため、読解と単語力双方を身に着けておく必要があると言える。
問2~問3⇒オーソドックスな読解問題形式の出題である。傍線部が本文中に引かれており、その部分に関して適切な説明を選ぶという、古文の問題で一番多い形式の出題だ。
この設問は、純粋な読解問題であり、本文の意味内容をどれだけ理解できるかというところが解答するにあたっては問われるものだ。解くポイントとして重要となるのが、まず設問の説明を読むことである。というのも、設問の説明のところで、主語が提示されていたり、目的となる対象が設定されていることが多く、まずはそのヒントに従い、本文のその人物や対象が書かれている部分を読み直すことから始めると、これらの設問は格段に解きやすくなる。
また、選択肢中の説明では、明らかに文章内容や訳出として誤っているものもあり、それらは見つけやすくなっている。すぐに選択肢として除外し、選択肢の数をなるべく減らしていくのがおすすめだ。
旧センター試験では、この付近の設問番号で、文法問題も出題されており、今後の共通テストにおいても文法問題の出題があっても不思議とは言えず、この対策に関しても怠らないことが重要だろう。やはりその対策としては、過去問演習が必要となる。センター試験と共通テストは名前こそ違えど、その内容に関してはそこまで大きな変化はない。そのため、センター試験の過去問なども積極的に取り組み、演習量を確保することが大切だ。
問4⇒第一回目の共通テストの過去問においては、この設問では、文章全体を通しての、各々の登場人物の言動として正しく説明している選択肢を選択するという問題内容だった。問2から問4が同じような問題構成になると断言することは難しいが、共通テストがより思考力を問うことを目的としているテストであることからも、読解に沿った設問が多い内容となっても不思議ではない。
この設問のポイントとしては、選択肢の内容を修飾語や助詞、副詞など細かな部分まで吟味することである。感情を表す語一つが違うものも、それは選択肢から除外できるのである。本文とよく照らし合わせ、本文と異なっているところがあれば、除外していく作業を繰り返していくのが定石となる。この設問に関しては、登場人物の言動が主なポイントであることからも、当該選択肢の主語としておかれている登場人物はそれぞれ注目して、もう一度文章を確認するとより正答を得ることができるだろう。
問5⇒やはり現代文と同じで、一番最後の設問が最も共通テストらしい設問となっている。ここでも、本文に基づく資料が提示されており、本文と関連させたうえで適切な解釈を選択する設問だった。
特筆すべき点としては、共通テストの思考調査段階からの傾向として、共通テストでは和歌に関する設問が出されるということである。一度問題を見ておいてほしい。
問題リンク:「共通テストホームページ 2020年度共通テスト国語問題」
和歌に絡めた設問が出題されるのは、旧センター試験でも同様のことであったが、共通テストではそこに一つ手が加えられており、新たな和歌が設問中の資料で追加され、そのうえで本文中の和歌との比較やそれに基づく解釈が行われており、その中から適切なものを選ぶのである。
ポイントとしていえることは、和歌内容理解が重要となるということだ。和歌内容理解と言ってもやることは一般的な古文読解と等しく、まずもって単語力がカギとなる。また加えてここで生きてくるのが、古文常識なのである。基本的に和歌というのは、その時の作者の心情を色濃く反映しているものが大半で、それらの理解には古文常識が助けとなることが多い。当時における恋愛観や、死生観といったものに対する理解がヒントとなり解ける問題もある。
以上までで、共通テスト第三問の古文の解説とポイントの説明を終わります。古文は日ごろからの積み重ねが如実に成果として現れる分野であるため、着々と準備を行っていきましょう。
次の記事では、共通テスト国語の最後の解説として第四問の漢文の解説を行います。そちらもぜひチェックしてみて下さい。