全統共通テスト模試現代文解き方徹底解説【小説編】
国語太郎
先生!【評論文編】のおかげで評論文はなんとかできるようになったんですけども、
小説がうまく解けません、、
先生
なるほど、やはり小説は読み慣れていなかったりするとわかりにくいところも多いものです。今回は、小説の解いていき方を問題と一緒に考えていきましょう!
国語太郎
さすが先生!今回もよろしくお願いします。

 前回の記事に引き続き、今回の記事でも第一回全統共通テスト模試の国語の、特に第二問に当たる小説の解説を行っていきます。読解の方法としては、基本的にこのサイトのこのページにまとめていますので、ぜひそちらを参照していただいてから、読んでいただけるとありがたいです。

 早速、【評論文編】と同じように、本文解説から行っていきます。

【本文解説】

 基本的に、小説を読んでいくときには、登場人物の心情の移り変わりを追っていくこととなります。そのため、心情を表す語句や、風景描写などを主に取り上げていきます。

[文章Ⅰ]⇒文章Ⅰでは基本的に成長し、大人になった勝呂が母に抱いている感情や思いを読み取ることが必要である。

(1~27行目)「主人公勝呂と、母の元教え子鮎川さんとの会話」

・1行目 風景描写「つむじ風」「鉛色の空」⇒暗い雰囲気。どんよりとよどんでいる。             

・1行目、2行目 「ポケットに片手を~新聞紙の行方を見つめていた」⇒勝呂の行動。空虚さや、やるせなさを感じる。(読み取れなくてもOK)    

・7、8、9行目 鮎川の言動 「お墓には一度も」「腕時計を見ながら」「御授業をうけただけ」⇒時計をチラ見して、時間を気にしている(退屈のサイン)。勝呂の母のお墓参りもしていない⇒この段階で、勝呂の母に対しそこまで良い感情はなかったのではないかと予測できる。                                                                    

・10~16行目 鮎川の言動「あわてて首をふった」「少しお厳しいところも」「彼女は言葉をにごした」     ⇒勝呂の問いかけに対し、弁解したり言葉を濁したりしつつ母へのマイナス評価を語っている。            

・17行目 風景、行動描写 「つむじ風が塵芥を」「腕時計をちらりと見た」⇒沈黙が強調される。再度鮎川は時間を気にしており、この場を早く切り上げたいと感じていることが読み取れる。                                  

・19~25行目 鮎川の言動「音楽にあたしたちが~お求めになった」「曖昧な微笑をうかべた」「色々、先生が理解できなかったんじゃありません」「もて余していた」⇒教師をしていたの勝呂の母は、生徒に求められているもの以上のことを要求し厳しく接していたため、生徒の手にも余っていた(ウザイと思っていた)とわかる。当時を思い出し、明らかに鮎川は不愉快さ、そして気まずさなどを感じている。                                          

・25行目 勝呂の心情 「父がかつて母を~生徒たちも母をもて余したのだろうか」⇒過去にも勝呂の母は、勝呂の父親に対しても似たような行動をとってしまっていた。後の話に繋がる重要な回想であり、伏線である。

(28~39行目) 「勝呂の母親に関しての回想」⇒ここは文章を読むうえで非常に重要なシーン。

・28、29行目 「母が大連から~この校舎を見つめていた」⇒勝呂の母の過去がわかる。3年間学校で教師をしていた。その短い間に強烈な負の印象を母親は生徒に残していた。                           

・31~34行目 勝呂の回想「鮎川さんの言葉はまだ彼の耳に残っていた」「結婚生活では~浮かべなかった母」「離婚後~ヒステリックにさえなっていった」「思い出したくはない」「やはり思い出さねばならぬ」     ⇒勝呂の心には鮎川の言った言葉が延々と繰り返されている。勝呂の母は結婚時にもうまく立ち回れていなかった。その結果離婚し、そののちにはコントロールが効かなくなっていってしまったとわかる。それを勝呂は当然思い出したくないものの、母の人生を知るために思い出していく必要があった。                                  

・36~39行目 同じく勝呂の回想 「学校をやめさせられた」「音楽家を育てる場所ではない」「母にとって、教養のための音楽などは存在しなかった」「弦で潰れ~血がにじんでいた」⇒勝呂の母は、音楽家として高いプライドを持ち、学校でもそれを生徒に押し付けたため相容れずくびにされてしまった。自分の感情を貫き、かつたゆまない努力をしていた人間だということがわかる。これを勝呂は負の感情でなく、懐かしさや愛情といった感情でとらえていることがわかる。

[文章Ⅱ]⇒勝呂の子ども時代の回想

(1~9行目) 「大連から日本に帰国した時感じた感情、そして状況」

・1~5行目 「勝呂は中学生」「日本の風物は~小さくみえた」「どうしてもなじむことができなかった」     ⇒中学生という多感な時期に日本に勝呂は帰国した。大連と比較し、日本の風物はなんだか汚いものに感じ、うまく順応することができていなかったことを読み取る。(実際に当時の大連は日本が新たに占領地として区画整理や、近代都市を目指して作り替えられていたため美しい街並みを擁していた)                              

・6~9行目 「母が東京にいることはもちろん知っていた」「母親とは~呼び寄せもしなかった」「勝呂を手元に引きとる」「勝呂はそれを一方で~不安だった」⇒勝呂は手紙で母親と交流を持っていた。母のもとに行きたいという気持ちもありつつ、不安も感じている。不安の理由は後に語られることとなる。

(10~23行目) 「勝呂の叔母が登場し、父親、勝呂との会話」

・10~14行目 叔母の勝呂への言葉、勝呂の感情 「父の前では母のことに~そっと廊下に呼びよせ」「声をひそめて」「どちらにもいい顔をしようとしている狡さ」「勝呂はうつむいたまま返事をしなかった」      ⇒叔母は父に見つからないように、勝呂を呼びよせて勝呂に母親に会わせてあげると甘言をいう。しかしその言葉を勝呂は肯定的に捉えず、叔母の狡猾さを感じ返事をしなかった。                                        

・15~20行目 父親と叔母の会話 「どこに行ってもうまくいかんらしいな」「人を妥協することを知らん」「心根を入れ変えねばいかん」⇒叔母は勝呂との会話とは打って変わり、父に対して同調するように勝呂の母を否定している。勝呂が叔母に抱いた感情は正解であったことがわかる。                    

・21~23行目 勝呂の母への思い 「自分が行けば足手まといとなるのだ」「結婚生活でも~満足していない」   ⇒6~9行目で勝呂が抱いた不安の理由が判明する。職場を転々とし、どこにも満足を感じていない母親のもとへ自分が行っても足手まといとなるのではと不安を感じている。

(24~34行目) 「母親との会話、勝呂の感情」

・24~26行目 「遂に会うことができた」「彼を見た時、母は頬に泪をながした」「倖せな一日だった」     ⇒勝呂と母はやっと会うことができ、それを勝呂は喜んだ。また、頬に泪をながすほど母親自身も勝呂に愛情を感じていることもわかる。                                                      

・27~31行目 勝呂と母の会話「自分しかできないと思うことを見つけて」「苦い顔をした」「なんのために、一生懸命生きてきたか、よく考えて」⇒母親の性格を特徴づけ、読者に印象づけている。文章Ⅰで語られた、母親の一本気な自我の強さを読み取ることができる。自分のような生き方を勝呂にも強く求めている。                                                

・32~34行目 「何気なく聞いた言葉はくりかえし、くりかえし~一つの言葉だったように思えてくる」「それはずっとあとでの話」⇒母の言葉が勝呂にとって長い間、心に残っていたことがわかる。大きな意味を持つ言葉だったということだともいえる。

(35~48行目) 「勝呂の状態、そして母親への嘘」

・35~39行目 「なんの愛情もない」「ただどこにも行けない」「義務的なお八つ」「成績は眼にみえておちていった」「悪いことさえできなかった」⇒勝呂は日本にもなじめず、求めている母からの愛情も得られないために、無気力に陥り、なにもする気が起きなくなってしまった。成績も落ち、何もできない状態になってしまっている。                                                             

・40~48行目 「そんな勝呂を母は知らなかった」「官立高校を受けてほしい」「成績は十番以内」「勝呂は決して母を幻滅さすようなことを返事に書かなかった」「虚栄心のためだけではなかった」「一人で遠くに生活している母を傷つけたくはなかった」「心配をかけまい」⇒勝呂は母を傷つけないため、近況を報告する手紙に母親が求める自分を演じていた。母親は知る由もなく、勝呂に期待をしていた。勝呂本来のやさしさや思いやりがみられる場面である。

(49~63行目) 「叔母との二度目の邂逅と会話、勝呂の不満」

・49~55行目 叔母の言葉 「父のための新しい縁談」「昔のように」「世話する奥さんが必要だろ」「黙っているということを~承諾の意味にとった」「節さんのことを口に出してはいけない」⇒叔母は父親に対して新たな縁談を持ってきた。母親を呼ぶ際の呼称も変わり、唐突に他人行儀となった。これに対し勝呂はなにも言葉を返すことができない。                                                           

・56~62行目 勝呂の心情 「勝呂の胸をひどく傷つけた」「いやだとも言わなかった」「また裏切りつつあることを感じながら黙っていた」「自分がまるで糸をからまれた虫のように思えた」「結果的に~事実だった」    ⇒ここは勝呂の心情を大きく読み取れるキーとなるポイント。伯母が勝呂に新しい母親のことなどを言い伝え、それに対し勝呂は傷ついたものの、何も言うことはできず、そんな自分の対応がより母を傷つけてしまっていることを自覚しつつも、不自由さや窮屈さを感じなにもできないでいる。反抗したいという気持ちもあるが、それを出すことはできない。

【設問解説】

・問1 傍線部(ア)~(ウ)の本文中における意味として適当なものを選択する設問。旧センター試験と同様の問題形式であり、本文中の意味であることに留意しつつ照合しながら正解を見つけていく。基本的には、語句そのものの意味を知っておけば解ける問題が大半である。⇒解答は省略

・問➁ 傍線部A「一人の中年婦人が入り口から出てくると、人影のない校庭をゆっくり彼の方に近づいてきた」に関する設問。婦人(鮎川)との出会いについて正しい選択肢を選ぶ。解き方としては、本文の傍線部前後の内容と選択肢を照合し、当てはまらない文があれば消去していく。

選択肢①:「自分の知っている母とはどこか違っているように思え、戸惑いを隠すことができなかった」という記述が不適当。勝呂は【文章Ⅰ】30行目以降で鮎川の言動通りの過去の母を回想している。⇒×

選択肢➁:「楽しみにしていた」「母が教師としての熱意に欠けていた」という記述が不適当。勝呂が鮎川と会うことを楽しみに感じていたという描写はどこにも書かれていない。熱意に関しても記述なし⇒×

選択肢③:「婦人と会ったこと自体をむなしく思うようになった」という記述が不適当。描写からむなしさという感情は読み取ることはできない⇒×

選択肢④:「父に対して歩み寄ろうとする気持ちを持つようになった」という記述が不適当。特に父親に対する自分自身の感情を述べている描写はない。⇒×

選択肢⑤:これが正解となる。「変わらぬ一面」という記述が、文章Ⅰの「父がかつて母をもて余したように」に合致する。特に本文と大きく外れる表現もなく、選択はしやすい⇒〇

☆ポイント:本文の内容と照合すればすぐにわかるような選択となっていることが多い。特に感情の部分を問われていることが多いため、感情を表す文には注目をすることが重要になる。

・問3 傍線部B「九月、大連から伯母が神戸にやってきた。」に関する設問。伯母に関する説明として適当なものを選択肢から選ぶ。

選択肢①:「心ならずも同調するような」という記述が不適当。伯母は、父と勝呂の二人への対応によって態度を自分の意思で変えている狡猾な人物であるとして本文に書かれている⇒×

選択肢➁:「情にもろいところがある」という記述が不適当。選択肢①でも説明したように、伯母は狡猾な人物として書かれており、情から勝呂に優しさを見せていたわけではない。⇒×

選択肢④:「勝呂の母代わりをもって任じるあまり」という記述が不適当。そのような記述は本文にはなく、母の代わりといったような言動は言っていない。⇒×

選択肢⑤:「勝呂と母の間をとりもつようなことをしていた」という記述が不適当。この選択肢は少し引っかかってしまう可能性があり注意が必要。伯母は確かに言葉では良いことを言っているものの、実際に間を取り持つような行動をとったわけではない。⇒×

選択肢③:記述はすべて適当といえる。本文と同じ表現が使われており選択しやすい。「斟酌」という単語の意味を知っていなくとも正解はできる。

☆ポイント:正誤の判別が難しい選択肢があった場合、違和感を感じた語句が一つでもあれば本文と丁寧に照合させる必要がある。どちらか一方で迷う選択肢があれば、最終的にどちらの選択肢文に違和感がないかで選ぶのも一つの手段ではあるといえる。

問4 傍線部C「そんな勝呂を母は知らなかった」に関する設問。このことに関して適当な説明を選ぶ。「そんな」という指示語が含まれているため、傍線部よりも前の部分からそんなにあたるものを探しておく。ここでの「そんな」は無気力に陥り、落ちこぼれていってしまっているということである。

選択肢①:「家にいる時とは違って学校では投げやりな態度を示し」という記述が不適当。家においても勝呂は【文章Ⅱ】35、36行目を見るとわかる通り無気力で投げやりな態度で過ごしていることがわかる⇒×

選択肢③:「つまらない虚栄心ゆえに」という記述が不適当。【文章Ⅱ】46、47行目で母を傷つけたくないというやさしさからも嘘をついてしまったと書いてある。また、「手を焼いていた」も微妙。彼は悪いこともしていないため、教師の手を焼かせるようなことはしていない。⇒×

選択肢④:「身についてしまった遊び癖」という記述が不適当。勝呂は【文章Ⅱ】37行目に書いてある通り、無気力さゆえに勉強どころか遊ぶ気力さえも失ってしまっていた。「母を傷つけることになってしまった」も不適当。そのような場面描写はない。⇒×

選択肢⑤:「母はどこか腑に落ちないものを感じつつも」という記述が不適当。【文章Ⅱ】42、43行目で、父が母に手紙を出すことはなく、母は勝呂の手紙によってしか現状を知ることができなかったと記述がある。そのため、勝呂の言葉を信じてしまっていた。⇒×

選択肢➁:これが正解となる。母は実際に現状を知らないがゆえに、過度な期待を勝呂に対して抱いており、「官立高校受験」や「成績は十番以内」などということを手紙に書いている。

☆ポイント:選択肢文において言い換えが行われているときは、本文のどの部分を言い換えているものなのか確認をする必要がある。

・問5 【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】の説明に関し、不適当なものを選択する。不適当であるということに注意が必要。

選択肢①:適当

選択肢➁:適当。勝呂にとって母の存在がいかに大きかったかという点は、【文章Ⅰ】最終段落や【文章Ⅱ】35行目の勝呂の心情描写から読み取ることができる。

選択肢③:適当

選択肢④:適当

選択肢⑤:【文章Ⅱ】に関する記述「どこかなれあいを含んだものとして描かれている」という点が不適当である。なれあいという言葉は、伯母と勝呂との会話には当てはまらない。いうなれば伯母の狡猾さの独壇場であり、結局のところ勝呂に何も口を挟ませることなく会話を進めていっていることなどからも、間違っているとわかる。⇒不適当(正解)

・問6 【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の表現について適当なものを選ぶ設問。選択肢中に指定されている部分を再度読み直し、成否を判断することが必要となる。

選択肢➁:「師であった勝呂の母のもとで培われた婦人の几帳面な性格」という説明が明らかに不適当である。鮎川ら生徒は、勝呂の母のことを手に余らせていたのであった。そのため、なにかが培われるということはなかったと考えるのが自然である。⇒×

選択肢③:「亡き師に対する愛惜の思いをも示している」という説明が明らかに不適当。「言葉をにごした」「曖昧な微笑」というのは、勝呂の母に関する質問に答えにくさからくる感情の結果であり、何か愛惜の念を感じていたという事実はない⇒×

選択肢④:「勝呂の苦悩をうかがうことができる」という説明が不適当である。確かに、亡き母の指がとてつもない練習により固くなりそこに、音楽という自分の道に打ち込んでいた母に対する理想を当てはめることはできるが、そこから苦悩を読み取るということはできないといえる。特に苦悩をしている描写もほかにはない。⇒×

選択肢⑤:「母に対する反発」「父への親しみ」といった説明は不適当である。本文中においてこのどちらの心情も読み取ることはできず、明らかな誤りであると判断することはたやすい。⇒×

選択肢①、⑥:これらが正解である。説明に不適当なところはない。①に関しては、本文解説でも触れた通り風景描写は、雰囲気や心情を読み取る重要な要素であるため、正確に読み取っておく必要がある。⑥に関しても比喩表現の解釈として適切であるといえる。

 以上で、全統共通テスト模試現代文【小説編】の解説を終わります。設問解説内に問題を解く際に重要となるポイントや見方などを挙げているため、ぜひ参考にしてください。

 ほかの記事で、より詳しい現代文の解き方や過去問の解説なども随時紹介していくので、そちらも確認していただけると嬉しいです!ありがとうございました。

 

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